「個性ある幕の内弁当」を指向するサービス
会社の飲み会でした。
先輩から頂戴したアドバイスは、次のとおり。
- 多様なインプットを経験するべし。でないと閃きは生まれない。
- コードを書けるようになりたいなら、コードを書くことに時間をかけろ。
- アプリケーションサーバのコードを読むといいよ。そして1回は書いてみるといいよ。
- 祭りには参加しておけ。
最後の方はアレですが、とても有難いアドバイスですね、ハイ・・・。
それから、良いサービスとは何かについて話をしました。
良いサービスとは、誰からも嫌われないサービスのことだよ、と先輩がいうので、個性がありつつも誰からも嫌われない幕の内弁当ってことですか?と聞いたら、そーそーそんなカンジ、と言われました。どうなんでしょうね。
幕の内弁当といえば、ネガティブな喩えでよく使われますが(様々なことに対応しようとした結果、尖った部分を失ってしまうことへの警句として「幕の内弁当になるな」というように)、ここでは良い意味で使っています。
幕の内弁当を連想しながら、同時に、小説家の京極夏彦氏が昔語っていたことをふと思い出したので、その話を紹介しました。2000年頃、活字倶楽部という雑誌のインタビュー記事で、京極氏が「小説を書くときには、色々なタイプの人に面白いと思ってもらえるように書く」ということを語っていたのです。
これは、たとえば、
- 登場人物に入れ込みたい人のために、キャラの立った人物描写を
- 歴史小説的要素を楽しみたい人のために、精確な時代考証を
- 推理小説を楽しみたい人のために、奇抜なトリックを
- マニアックな知識を得たい人のために、長い薀蓄を
- 性描写に期待する人のために、そのテの描写を
とか、そういうことだと思います。
色々な楽しみ方ができる物語を用意すること。それによって、1編の作品でより多くの読者の心を掴むことができます。そのためには、
- どれだけ多種多様な受け手の嗜好を思いつけるか
- それらの嗜好に合った物語表現をどれだけ紡ぎ出せるか
が重要です。
サービスの場合も、1つのサービスでなるべく大勢を取り込むためには、同じことが必要だと感じました。多くの人が楽しめるように、色々な具が入った幕の内弁当を設計すること。しかし、他の幕の内弁当の中で埋もれないためには、個性も必要です。
オチはないのですが、そんな話をして楽しかったので、メモ。
サービスについて自分なりの考えを持たないといけない、と最近ときどき思います。