達人に学ぶDB設計 徹底指南書

非正規化は、様々なトレードオフを考慮しながら慎重に実施する必要のある、難しい仕事です。人々は一般にそのような仕事を嫌がります。しかし、それこそがエンジニアの本務だと著者は考えています。

ミック:『達人に学ぶDB設計 徹底指南書』,p.156,翔泳社,2012.3.

達人に学ぶDB設計 徹底指南書 初級者で終わりたくないあなたへ

達人に学ぶDB設計 徹底指南書 初級者で終わりたくないあなたへ

まだ章ごとの演習問題が残っているけれども、本編を読み終えたのでメモ。(上の言葉は、この本全体を通して、技術解説以外で印象に残った一節です)

著者のブログで、この本ではトレードオフから目をそらさずに解説したと書いてあったのを読んで、良書の可能性が高いと思って購入しました。実際、非常に勉強になりました。

章立ての便宜として、論理設計と物理設計に分ける構成にはなっていますが、片方が主題の章にも必ずもう一方が顔を出してきます。

(中略)本書が両者を同時に考える理由は、この二つのレベルの間に、強いトレードオフの関係が成立しているからです。

新著が出ます:『達人に学ぶDB設計 徹底指南書』 - ミックのブログ

面白かったのは、バッドノウハウとして紹介される、びっくりするようなアンチパターンの数々です。ないわーと感じるわけですが、でも、あるところにはあるんでしょうね。

また、データクレンジングや名寄せについて、章を設けて説明された本を初めて読んだので、おぉっと思いました。

最終章は理論の章で、ツリー構造をリレーショナルデータベースが扱うことの難しさや、それを克服する他のモデル(入れ子集合モデル、経路列挙モデル等)が解説されました。これも、説明が平易な上にサンプルSQL付きで、理解しやすかったです。

おそらく重要なのは、この本でグレーノウハウとして提示された手法について、どうすることが望ましいのかを、様々なケースを想定して自分で考えてみることなのでしょう。というわけで、演習問題やれって話だと思います。