遙かなる地球の歌

仕事でバタバタしていて感想を書いていなかった。読みました。面白かった。

遙かなる地球の歌

遙かなる地球の歌

幼年期の終り』を読んだ後に、finalfusionさんからコメントですすめてもらって手に取りました(Kindleで読むと「手に取る」が論理レイヤーの動詞になるのがちょっと面白いですね)。前回と同じ作者の作品です。

『遙かなる地球の歌』は、『幼年期の終り』にくらべて人間ドラマ感がさらに強いわりに、視点人物が最後までほぼ常に冷静なので、こちらのほうが読みやすいかも。

そういえば、滅亡に瀕した人類が宇宙に送り出す「播種船」という箱舟の現代用語に、この本で初めて出会いました。最近読んだ『シドニアの騎士』にも同じものが出てきたので、ロボットやタイムマシンと同じくらい、この手のジャンルではよくある題材なのかもしれない。過去にSFをほとんど読んできていないので、こういったメタ知識を得ることも新鮮で面白い。w

作中では、何世紀も前に死んだ人々に登場人物たちが思いを馳せる場面が、何度も出てくる。それがすごくよかった。自分より圧倒的に高い知性が、生きていくこと死んでいくことのはかなさを美しく料理してくれた作品を味わうと、自分が抱える寂しさを慰撫されたように感じる。サラッサでモーセ・カルドアが籠っていた<最初の着陸地点>の大聖堂も、彼にとってはそういう場所だったのかもしれない。本はすごい。