タイタンの妖女

物凄く面白かった。今年読んだSFの中では1、2を争うレベル。タイトルと装丁が好みじゃなくて今まで読んでなかったけど、もっと早く読めばよかった。

タイタンの妖女

タイタンの妖女

奇想天外な出来事が起こり続ける点と、作中作の引用が多い点では、『銀河ヒッチハイクガイド』に似ている。でもあっちがナンセンスギャグならこっちは変態紳士のユーモアという感じ。

ディティールの描写が重厚で、世界観の構築力がすごい。たくさんの精緻なイメージが、パッチワークというか、立体パズルのように組み合わさっている。パッチワークほどペラペラではないので立体パズル。作者は、どこかで見たことのある風景を組み合わせて、今まで見たことのない世界を幻出しようとする。

しかし、火星軍の行進の曲のくだりを読んでいると、これを原文でそのまま味わえたらなあという気持ちが募る。英語がんばるしかない……。