『クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの』
夕方から喫茶店で読書。
クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの (朝日新書)
- 作者: 西田宗千佳
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2009/01/13
- メディア: 新書
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「クラウドとは、技術ではなく現象の名前である」という結論が、読み終わったとき、すとんと胸に落ちてきました。自分が日常的に使っている様々なサービスが、系統立てて分析されていて、「そうか、あれもこれもクラウド・コンピューティングという氷山をなす一部であったのか」という気持ちになります。オジサン向けの本だそうですが*1、勉強になりました。「クラウド」という切り口ですべてを包括する著者の文脈をもって、現在の主なWebサービスを整理・理解できました。
以下、感想メモ。
パソコン中心のユーザがケータイに対して持つ違和感の正体
読んでいて深く納得できたのは、パソコンユーザと携帯ユーザの間にあるカルチャーの差の話。
これまで私は、携帯電話からアクセスできるエンターテインメント系のコンテンツに馴染めませんでした。その違和感の正体がはっきりしました。なるほどたしかに、私は携帯電話に「パソコンでできるのと同じようにWebサービスを使えること」を期待することはあります。しかし、魅力的なケータイコンテンツそのものは求めていません。着うたには興味ないなー。
「ユビキタスはクラウドの結果」
ユビキタスとは、クラウドの結果であると著者の西田氏はいいます。ここでいうユビキタスとは、「いつでも、どこでも、コンピュータが使える」ことではないそうな*2。
ユビキタスの提唱者であるマーク・ワイザー氏がいわんとしたことを、西田氏はこう説明します。
彼の訴えたかったことは、「コンピュータを使う際、そこに何台のコンピュータがつながっているのかとか、どのような方式でつながっているかを気にする必要がないことが理想である」という点だ。
え、それクラウドやん、みたいな。
サービスとデータ保存先の分離
これは、たとえば、ドキュメント編集時にだけGoogleDocを利用して、データの保存には別のサービスを使う、ということ。別のサービスとは、ユーザが信頼する任意のデータ保存サービスだそうです。こういう使い方が広まり、データ保存先を多くの選択肢の中から自由に選べるようになれば、グーグルフォビアな人や企業も、今より積極的にWebサービスを業務に利用できるようになるかもしれません。今後の展開が気になります。
技術的課題を解決するもの
- データをローカルに分散して保存する場合、複数の環境で同期を取ること。→ライブメッシュ。
- データをサーバで一元管理する場合、オフライン作業を可能にすること。→Gears。
補完情報
著者のブログ記事に、本書の補完情報がありました。