『ソフトウェアライセンスの基礎知識』読了

先日ちらっと書いたけど、読み終わったので改めてメモ。

ソフトウェアライセンスの基礎知識

ソフトウェアライセンスの基礎知識

たくさんのライセンスを分かりやすく紹介した本かな?とタイトルから予想しましたが、違いました。もちろんそういう側面もありますが、"各種ライセンス概説"のような平坦なガイドブックではなかったです。

この本では、オープンソースライセンスについて、それが作られた歴史的基盤にまで遡って解説されています。背景となったOSSの文化について、利用側にいるだけでは見えない部分が語られており、ライセンスは無から生まれた契約ではないという当たり前のことがよく分かります。

特に印象的だったのは、社会を規制する4つの力(法、アーキテクチャ、市場、マナー)が、OSSに四方から影響を与えている図でした(本の冒頭付近にあります)。法律を学んだことがある人には常識的な認識だと思いますが、そんなふうにソフトウェアを立体的に考えたことは、自分は初めてでした。ライセンスってただの紙切れに書かれた平面的な情報じゃないんだなあ、と思うと同時に、本の中身にぐっと興味がわきました。

これまで、オープンソースライセンスに関する基本知識がないせいで、リアルやネットでこの手の議論を眺めても、どの意見にも説得力があるように感じたり、カリスマ的な人(誰)の主張から影響を受けたりしがちでした。この本のおかげで、まわりの人たちが何について議論しているのかが把握でき、自分の頭でライセンスについて考えるスタート位置に立てた気がします。

なお、この本は、オープンソースマーケティング運動に与すると宣言している(p.95)という意味では主義主張を持っていますが、個々のライセンスについては、そこそこ中立的な視点で紹介されていると思います。

個人的には、

  • 利用と使用の違い
  • ライセンスによって派生ソフトとみなされる範囲が異なること
  • Microsoftオープンソースライセンスの体系の詳細
  • ライセンス間の互換性の問題

などなど、そのあたりの知識が増えたのも良かったです。

良い本を薦めてくれた先輩に感謝です。