夏への扉
読んだ。面白かった。
雑にいうと、ライ麦畑の訳本っぽい文体のバック・トゥ・ザ・フューチャーという印象。いまWikipediaを見て、原作は1956年に発表されたと知ってびっくりした。1970年代くらいの作品だと勝手に思っていた。
主人公の感情のアップダウンが激しい。やはりウェットで卑近な感情が克明に描かれた作品は、小説を読んだという充足感をもたらしてくれる。たとえば、異星人と親しくなる歓びよりも、女に騙された怒りや悲しみの方が、より普遍的な感情なので、読みながら想像しやすいw わかりやすいのはよいことだと思う。
技術屋である主人公の描写に味がある。どんな状況でも、目の前の問題を解決する機械の設計を頭の片隅で考えはじめる主人公に笑ってしまう。いるよねこういう人。
そしてなんといっても、作品に登場するネコと、ネコと主人公の距離感が素晴らしかったです。