幼年期の終り
コロニーにおける実験音楽の多くは、完全に意識的に、いわば"時の小節"とでも呼ばれるべきものと結合していた。人間の心がとらえることができる最短の音は何か あるいは、退屈を感じない範囲で堪えることのできる最長の音は? そしてその結果は、各種の条件を設定したり、または適当な管弦楽法を用いたりすることで変えられるのだろうか?
読み終わったばかりの『幼年期の終り』の一節から。次の記事を読んで思い出した。
iOS 7でも使えるというので、ダウンロードして使ってみた。カメラとフラッシュに指を当てて待つと、心拍数が測れるらしい。ユーザの心拍数と時刻を元に、なんらかのロジックで音楽が生成される。へぇ、という感じです。
まあそれは余談で、『幼年期の終り』。ものすごく面白かった。
- 作者: アーサー C クラーク,福島正実
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/12/21
- メディア: Kindle版
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硬質なのに叙情的で、未来的なのに神話的。なんだこれはと思った。『百億の昼と千億の夜』のスケール感に近いかも(輪廻転生の話はない分、ドライだけど)
物語の中では百年くらい時間が経過する。その時その時の視点人物を取り巻く情景描写と意思の描写が生き生きとしていて、話に引き込まれる。翻訳が本当に素晴らしい。
特に、とある望みがついに叶わないまま晩年を迎え、枯れた木立の間をゆっくりと散歩する"リッキィ"の足元を吹いていただろう淋しい風のことを思うと、胸が詰まる。
最高でした。