JSTQB認定テスト技術者資格試験、ソフトウェアテストを学びたい人の足がかり

先月受けたJSTQB認定テスト技術者資格 第6回 Foundation Level試験の結果が出ました。無事合格ー。

ソフトウェアテストをもっとうまくできるようになりたくて、まず基礎知識を増やそうと思って受けましたが、合格以外にも得られたものがありました。というわけで、勉強してよかったことと勉強方法をメモ。

公式サイト:JSTQB認定テスト技術者資格

勉強してよかったこと

テストについて語るための共通語を学べた

ソフトウェアテストについて人と話すとき、それぞれの人が同じ言葉について独自の解釈をしているせいで、会話がかみ合わないことがあります。この試験で勉強する内容は、そういった齟齬を失くすことに役立ちます。

Foundationレベルは,もっとも基礎的なレベルで,テスト技術者なら必須であろう知識について認定がされます。したがって,試験の内容も,テストに関する基礎的な用語とその意味,用語と用語の関係など,テスト技術者の共通のコトバの習得を中心に試されます。なぜならばFoundationレベルの目的は,エンジニアに限らずテストに関係するあらゆる関係者同士のコミュニケーションが行き違いなく,円滑にできるようになることだからです。

たとえば、私の今の仕事は、部内開発が中心です。メンバーは全員、同じ部署の社員です。そのため、この業務でテストについて話し合うときは、チーム内で通じる言葉を使えば事足ります。しかし、もちろん、他部署の人や社外の人と一緒にする仕事もある。そういうとき、チームの方言を使っていると話が通じないケースがあります。共通語の知識があると、コミュニケーションしやすくなります。

とはいえ、それってお互いに共通語の知識を持っていなければ、結局は食い違いを防げないのでは…という懸念が残りますよね。それはたしかにそうです。

それでも、自分が標準的な語の使い方を知っていれば、最低限、自分が作成する報告書やプレゼンテーション資料で使う言葉は、適切に選択できます。まず発信側として方言を減らし、チーム全体で共通語を使うように、はたらきかけることができます。

Foundation Level試験の本質どおり、試験勉強を通してテストの共通語を学べたのでよかったです。

テストに関する基礎知識が広く浅く身についた

テストに関する技術系、人系の知識を広く浅く勉強できます。そのため、他のテスト本やプロジェクトマネジメント本を読むときの下地となる知識を得られました。

たとえば、分岐網羅、条件網羅、条件判定網羅では、どれがどれをカバーしているのか? どちらがテストとして厳しいのか? 境界値を使ったテストでの値の採り方は?(最小限のテストデータでテストするため、冗長な値の採り方はよくない)など、基本情報処理技術者試験を受けるときに勉強したような内容を復習できました。

また、たとえば、開発チームと結合テスト以降のテストチームは、分けた方がよいといわれます。JSTQB試験では、テストチームの開発チームからの独立度合いによって生じるメリット・デメリットを、体系的に学べます。たとえば、開発チームとテストチームが完全に分離していると、開発チームは品質に対する関心が薄れてしまう。一方、テストチームは重要な仕様変更などの情報から置いてきぼりになる。JSTQB試験が扱う範囲は幅広く、このような問題にも触れています。

テストエンジニアを目指す新人の教育としていいかも

そういうわけで、業務と相前後して、あるいは業務よりも知識先行でソフトウェアテストについて学びたい新人には、ちょうどよい試験だと思います。私自身、業務で実際にテスト計画、テスト設計、テスト実施…と経験する中で、JSTQBの試験勉強との相乗効果で、ソフトウェアテストへの理解が深まりました。

もちろん、理論どおりの理想的な状況を作るのはむずかしいなぁ、と気づくことも多々あります。それでも、理論や定説を押さえておくのはムダにならないと思います。なぜなら、理想的な状況を作るために取りうる施策は何か、そもそも現場にとってその理論は本当に望ましいのか、といったことを考えるきっかけになるからです。

実のところ、テストの奥深さを感じ取れたことが一番の収穫でした。学生や新人(私含む)は、仕事で痛い目に遭うまで、テストを軽視していることが多いものなので。テストの日程をもうちょっと取らないとなぁ…というか、テスト自体ちゃんと勉強しないとなぁ…などなど、反省しました。

勉強方法

公式シラバス

JSTQBの公式シラバスをじっくり読みました。JSTQB認定テスト技術者資格-シラバス(学習事項)・用語集-から、PDFでダウンロードできます。試験問題は、シラバスから出題されます。試験勉強としては、これが一番効きました。

シラバスは、試験対策を抜きにしても良い教材です。ソフトウェアテストの基礎知識が少ないページ数に凝縮されているので、効率的に習得できます。

市販の対策本

この試験では、数年前から有名な対策本が2冊あります。

JSTQB教科書 JSTQB認定テスト技術者 Foundation Level試験

JSTQB教科書 JSTQB認定テスト技術者 Foundation Level試験

演習で学ぶ ソフトウェアテスト特訓150問 JSTQBテスト技術者認定Foundation対応

演習で学ぶ ソフトウェアテスト特訓150問 JSTQBテスト技術者認定Foundation対応

一応両方使いましたが、試験勉強にはあくまでも上記のシラバスを使いました。

参考書は1回通読して、あとは理解があいまいな部分の確認に使いました。この本は、純粋に読み物として面白いです。問題集もひと通り解きました。解説が詳しくてよかったです。

また、昨年の11月頃、パソナテックさん主催のJSTQBセミナー(無料)へ行ってみました。これは、豆蔵の大西建児さんの話を聴いてみたいという理由で参加したのですが(^^; 試験対策ではなく、JSTQBそのものを紹介するセミナーでした。海外でもテスト技術者認定試験が盛り上がっているという事例を聞けて、面白かったです。

参考サイト

試験に興味を持った方が、問題の雰囲気を確認するのによさそうです。

http://naha.cool.ne.jp/overdrive/JtcbExam/index.htm

以上です。