『折れない新人の育て方 (自分で動ける人材をつくる)』は新人本人が読むにも良い本

夕方、本屋で立ち読みしたら面白かったので、速攻で買って、喫茶店で読み通してしまった。

折れない新人の育て方 (自分で動ける人材をつくる)

折れない新人の育て方 (自分で動ける人材をつくる)

帯に「マネジャー、メンター、人事部必携!」とあるけど、折れかけの新人や若手本人が読んでも良さそう。自分で自分を導くために。

良かったと思った点は、次の2つ。

  1. 解説される「最近の新人の価値観」が、現実に近い。
  2. 新人にプラスの感じ方をさせるための方策が、具体的である。

1. 解説される「最近の新人の価値観」が、現実に近い

第2章で、「新入社員の価値観を理解する五つのキーワード」が、具体例をまじえて解説される。これがかなりドンピシャ。

世間には、若手から見て的外れだと感じる「新人の価値観論」が多いけど、この本で解説される内容に(自分は)納得できた。この本に書かれている新人の価値観に、自分は心当たりがある。また、会社の同期との会話を思い起こしてみると、彼らも似た価値観を持っているように思える。

最近の新人の価値観が分からない・分かりたいと思うことがあれば、この章を読めばよいと思う。反対に、新人がこの章を読めば、自分の言動が年長の社員にどう見られているかが、分かるかもしれない。

2. 新人にプラスの感じ方をさせるための方策が、具体的である

この本では、次のように主張している。

同じ要因に関して、プラスに感じるか、マイナスに感じるか、という感じ方の差が、「前向きに頑張る」か「元気をなくす」かの差を生んでいる

仕事がうまくいかない時に、マイナスの感じ方をすると、「自分にはムリだ」「向いてないんだ」「他人が悪い」と思ってしまう。逆に、プラスの感じ方をすると、「少しずつよくなってる」「次に生かそう」「自分でなんとかしよう」と思える。そこで、マネジャーやメンターは、新人や若手がプラスの感じ方ができるように手を差し伸べる必要がある、という話だ。

本の中では、新人にプラスの感じ方を学ばせるための方策が、ステップを踏んで解説される。中でも特に、「STEP4 場面を察知してプラスの感じ方を教える」が、具体的だった。ここでは「新人がつまずきがちな10の場面」を挙げて、新人がプラスの感じ方を学ぶために、それぞれの時点で上司と同僚がどのようなはたらきかけをするとよいかを書いてある。

たとえば、「報・連・相」という成長ポイント。ここで、上司が自分の聞きたいことしか聞かなかったり、同僚が「後で聞くから」と仕事の手を休めなかったりすると、新人は「どうせ言っても聞いてもらえない」というマイナスの感じ方をするようになる。対して、上司が「報・連・相は責任だ」と発言したり、同僚全体が活発に報・連・相をしていると、新人は「疑問や違和感を素直に言ってもいいんだ」とプラスの感じ方ができるようになる。

上のような声掛けや職場環境改善の方策が、つまずきがちな10場面分、提示される。これは、上司が実際に新人と向き合うときにも、新人が自分で自分を励ますときにも、役に立つと思う。

感想

読み終わって、非常に内省を迫られました。

この半年ほど、この本の「つまずきがちな10場面」でいうところの「配属(仕事内容)が思いどおりにいかない」、「山積みの仕事」、「考えてもどうしたらいいかわからない」の3つが原因で、自分はまさに折れかけていたのですが、いかにも未熟でわがままな悩みのような気がしてきました。そういう視点を得られて良かったです。

あと、タイトルに書いたように、この本が若手が読むにも良いと思った理由は、上で挙げた「良かった点」の2つ目があったからです。

ここまで具体的に書いてあれば、もし若手が職場で誰からもこのようなはたらきかけを得られなくても、自分で自分に対して、プラスの感じ方を学ばせるような言葉を言い聞かせることができるでしょう。で、自分はそうしようと思いました。*1

そして、次の新人に接するときに自分が実践して、願わくば相手にプラスの感じ方を学んでもらい、環境を今より良くしていけたら、と思います。

良い本でした。

*1:ちなみに、職場でこの手のはたらきかけが皆無なわけはないですw 結局のところ自分を救うのは自分だし、頑張るかー、くらいの意味で。