情報共有が上手いチームと自分のチームを比較して気づいたこと

数ヶ月前、情報共有のやり方が上手いなあと思うチームとすぐ近くで仕事をしていたので、そのチームと自分がいるチームのやり方を比較してみたことがあります。結論はまとまっていませんが、考えた過程を残すために、メモしておきます。

情報共有といっても、スコープや取り扱う情報の種類はさまざまです。ここでは、スコープを「数人規模の開発チーム」、取り扱う情報を「開発に関すること全般」と、せまく定義することにします。「開発に関すること全般」とは、たとえば、ハマリの回避方法、直近の仕様変更部分、交渉上の方針など、何でもありだと考えてください。

まず、情報共有が上手い(と自分が見ていて思う)チームがやっていることの特徴を探してみて、次の3つに気づきました。

  1. 情報共有の重要性についてチーム全員が合意している
  2. 情報共有が維持・促進されることをチームの誇りにしている
  3. 情報共有をスケジュール化している

次に、チームで集まっても情報共有が積極的に行われないとき、情報共有をしない/できない人がなぜしないのかを考えてみました。なんとなく、こう書くとメンバー個人に要因を押しつけているようですが、"どうやって協力してもらうか"という観点で考えたせいであり、他意はないです(念のため)。すぐに思いついたのは、次の3つの理由でした。

  1. 「情報を独占することでなんらかの優位性を得たい」と思っているケース
  2. 「コミュニケーションにかかるコストがもったいない」と思っているケース
  3. 他者と情報共有できるレベルまで本人が理解できていないケース # 技術的な情報だとこういうこともある。番外。

上のことを頭においた上で、自分たちのチームと情報共有が上手いチームの様子を比べてみました。

この時点で気づいたのは、自分たちのチームは守りの姿勢で、向こうのチームは攻めの姿勢だということでした。自分たちのチームでは、いつも情報共有が滞ってから対処をしていました。が、対照的に、情報共有が上手いチームでは、自分たちが"対処策"と呼ぶものを日常的に行っていて、情報共有が滞るという事態がそもそもあまり起きていないようでした。向こうは、先手、先手という感じです。

考えたことをもう少し書いておきます。

1. 「情報を独占することでなんらかの優位性を得たい」ケースへの対処

自分たちのチーム
  • 情報共有の重要性について合意している

一応口頭で、「報告・連絡・相談を大事にしよう」という意識付けをお互いにしていました。しかし、結果をみるかぎり、表面上での合意に終わっていたようです・・・。

情報共有が上手いチーム
  • 情報共有の重要性について合意している

これは、向こうのチームも同じようにやっているようです。ここに特筆すべき点はないように思います。

  • 情報共有が維持・促進されることをチームの誇りにしている

これが、自分のチームにはないやり方で、参考にしたいと思った部分です。

たとえば、社内での業務報告会や表彰があるような事例発表会のような場で、情報共有がうまいチームは、情報共有の仕方そのものをコンテンツとして発表していました。発表テーマのメインは、もっと別のところにあるのですが、余談として「チームでこんなふうに情報共有の仕組みを作って、回してます」ということを公言してしまう。それに対して、まわりが「すごいね」「うちもやりたい」と反応するわけです。

面白いやり方だと思いました。

情報を独占したい人の目的は、独占することそれ自体ではないはずです。たぶん、誰も知らない情報を使って、何か問題を解決することで、他の人から一目置かれたいだけではないでしょうか。だから、アプローチは違えども、人から「すごいね」といわれる状態を作れば、「優位性を保持したい」という理由で情報共有がなされない問題が、解決できるのかもしれません。

ただし、この手は、チームの手柄を自分のことのように喜べる人でなければ通用しないという懸念があります。この手を使ったときの周囲からの評価は、チームの一員として情報共有に参加していてこそ得られるものなので、高いコミット感を得られるように、そのことを強調するとよいのかもしれません。

2.「コミュニケーションにかかるコストがもったいない」ケースへの対策

自分たちのチーム

正直なところ、何も対処できていませんでした。「それでもやっぱり情報共有は大事だよね」と強引に再確認し合った程度です。と、書いていて思いましたが、これは逆効果だったかもしれません。まったく論理的じゃないし。

この問題意識の難しいところは、"コミュニケーションは無料ではない"という当たり前の指摘であり、間違ったことは言っていない点です。コミュニケーションのコストを度外視するというのは、情報共有が好きな自分のようなタイプが、陥りやすい罠です。

ただ、この話を突きつけられた時に何も対処できなければ、時間の節約を名目にして、必要最低限の情報共有まで省略されてしまうことがあります。何か対処しなければいけません。

情報共有が上手いチーム
  • 情報共有をスケジュール化している

向こうのチームは、この1点によって、上手く対処していました。改めて考えてみて、この方法には2つの効果があると気づきました。

1つ目は、情報共有を習慣化することで、報告・連絡・相談への心理的な壁を低くできることです。やるのが当たり前という状態を作ることができます。

2つ目は、雑事に紛れて、情報共有をうっかり忘れることを防げることです。実際、向こうのチームは、メンバーのスケジューラに、定期的な予定として情報共有の時間を登録していました。# 観察していた期間中ずっとやっていたのではなく、特に情報共有が必要な数ヶ月間だけ、定期的に情報共有のミーティングを入れていました。

そんなわけで・・・

当時、情報共有で悩んでいたチームは、現在ほぼ解散状態なのですが、次に活かしたいなあと思い、メモを掘り出してみました。

じつは、ここで比較した情報共有が上手いチームは、メンバー全員が自分の後輩にあたるメンバーばかりで構成されたチームでした。最近の新入社員は、コミュニケーション能力が高いといいます。見ていて、確かにそうだなあと思うことが結構あります。全国的にどうなのかは分かりませんが、自分のまわりはそんな感じです。

この季節、新人研修の様子を見る時は、彼らから学べることを見逃さないように気をつけて、この時期を過ごそうと思います。