『IT 業界を楽しく生き抜くための「つまみぐい勉強法」』

良かったです。

読み終わって、「新人と呼ばれていた頃に読んでいたら、もうちょっと仕事であたふたせずに済んだかもしれないし、勉強会にもさっさと出かけていたかもしれない」という気がしたので、いま自分が直接かかわっている新人には、さっそく話してみようと思います。

IT業界の新人に対して、広い意味で親切な本だと思います。

以下、ここがよいなあと思ったところをメモしておきます。

1. 仕事をすすめる上での基本的な動作を学べる

第2章「守りの勉強法」では、仕事の基本所作のエアポケットに触れられています。聞き方、調べ方、情報選別の簡単な基準、そして、新しい仕事にどう向き合うか・何から取り組むかといった、誰もが始めはわからなくて右往左往するのに、教えてもらえる機会が少ない情報が、ていねいに説明されています。

特に、「質問の仕方を工夫しよう」は、参考になると思いました。問題を分析するフェーズと、質問を発するフェーズの2つに分けて、やさしく書かれています。

2. 体験することの重要性とその方法が理解できる

第3章「攻めの勉強法」では、体験することの重要性が説かれています。本を読む、コードから学ぶ、記事を書く、翻訳するという様々な方法について、具体的に書かれています。

面白かったのは、中心から右・左・上・下の分野に手を伸ばす「本の選び方の戦略」。これは、意識してみようっと。

また、次のシンプルな文章が、とても印象に残りました。

いいソースコードを読むことで、いいコードが書けるようになります。恐れずにコードを読んでいくようにしましょう。

奥乃美,渋川よしき:『IT 業界を楽しく生き抜くための「つまみぐい勉強法」』,p.131,技評SE選書015,技術評論社,2010.5.

3. 勉強会のメリット/デメリットを把握できる

第5章「勉強会に行こう」では、IT業界の勉強会とはどんなものか、何を得る場なのか、何に注意して参加するとよいかが、生々しく書かれています。勉強会にこれから参加する人がこの章を読めば、おそらく勉強会のイメージがかなりリアルにつかめます。

個人的に、今後、新人と一緒に勉強会へ参加してみようと考えているので、この章に書かれていることを事前に読んでもらって、興味をもってもらえたら、と思いました。

すでに勉強会に参加している身としては、耳が痛い戒めをいくつか受け取り、反省しました。予習することと、手を動かして学ぶことは、やっぱり重要ですよね。

まとめ

上に挙げた内容は、どれも新人にとって役に立つ情報です。そんなわけで、親切な本だと感じました。

"新人が入ってきても、育てる人・教える人がいない"という話を聞きますが、最初の仕事とのかかわり方、勉強のスタンス、社外での勉強方法に関しては、この本が相当補ってくれそうです。

最後に。本のタイトルでもある「つまみぐい」という考え方は、勉強に向かう気を楽にし、勉強を楽しいものだと捉え直させてくれるという意味で、新人に限らず仕事をしながら勉強を続けていく人にとって、親切でしたたかな味方であると思いました。

IT業界を楽しく生き抜くための「つまみぐい勉強法」 (技評SE選書)

IT業界を楽しく生き抜くための「つまみぐい勉強法」 (技評SE選書)

参考:おまけがあるらしい

http://twitpic.com/1j98ab 先行販売中の技術評論社『IT業界を楽しく生き抜くための「つまみぐい勉強法」』に、ジュンク堂スペシャルエディションというおまけを作っていただきました! 16ページにわたるボリューム大のおまけです。店頭でご覧下さい!

Twitter / ジュンク堂書店池袋本店/PC書 - 12:23 PM Apr 29th

別の本屋で買ってから知りました。そのため、どんな内容かは知らないのですが・・・一応、載せときます :-)