『闘うプログラマー(上)』

デヴィッド・カトラー氏率いるチームによるNT開発物語。

闘うプログラマー 上巻

闘うプログラマー 上巻

読んだ人から「面白いよ」と聞くたびに、いつかは読もうと思いつつ、何年もたってしまいました。会社の人から借りたのをきっかけに、やっと読むことができました。ひとまず、上巻まで。 # 今は上下巻を一冊にまとめた新装版が出ています。

特定のハードウェアでだけ動くソフトウェアが当たり前だった時代に、カトラー氏のチームが成し遂げた変革の偉業が、生き生きと描かれます。彼らが目指した「移植性のあるオペレーティング・システムソフトウェア」の理想と、実現のための泥臭い試行錯誤の数々が、明瞭な言葉で書かれています。

本書には、示唆に富む言葉も色々と出てきます。たとえば、ビル・ゲイツ氏の組織に対する考え方を示す下記の文章は、興味深いです。

(略)プログラマーを尊敬していて、どのプロジェクトでも、プログラマーを責任者にし、管理とプログラミングの両方をまかせる。両方をまかされるプログラマーにはストレスがたまるが、プログラミングの経験がないか、あっても時代遅れの知識しかない管理専門の人間には、指揮をとらせたくなかった。経営管理のプロにソフとウェア・チームやソフトウェア会社の管理を任せると、悲惨な結果になる。有望なソフトウェアとクズを見きわめることも、スケジュールや製品設計を評価することもできない。

G・パスカル・ザカリー著,山岡洋一訳:『闘うプログラマー』上巻,p.52,日経BP出版センター,1994.12.

NT開発チームの結成から20年が経っても、似た話題(ぼやき?)をTwitterで毎日のように目にするのは、面白いなぁと思うと同時に、考えさせられます。

下巻も楽しみです。