『ウェブ時代をゆく』

これまでにネットでこの本に関する様々な書評を見てきた。でも、実際に自分が読むのは初めて。

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

ほかの人の書評で、この本に登場する独特の単語を知り、正直何か気持ち悪いなぁと感じて、読むのを避けていた(もったいないことをしてた)。「高く険しい道」と「けものみち」とか。「生きるために水を飲むような読書」とか。

副題である「いかに働き、いかに学ぶか」について最近考えることが増えたせいか、図書館で偶然目にとまったので、借りてみた。何かヒントが得られるんじゃないかと期待して。

ヒントは得られたと思う。

ロールモデル

ロールモデル思考法という言葉を見て、てっきり「誰かみたいになりたい」という単純な話だと思っていたら、違っていた。

ロールモデル思考法とは(中略)自分の志向性をより細かく定義していくプロセスである。世に溢れる「人の生き方」や「時間の流れ方」に興味を持ち、それを自分の問題として考える。

「ある対象に惹かれた」という直感にこだわり、その対象をロールモデルとして外部に設定する。そしてなぜ自分がその対象に惹かれたのかを考え続ける。それを繰り返していくと、たくさんのロールモデルを発見することが、すなわち自分を見つけることなのだとだんだんわかってくる。

ちょうど最近、自分が本当に興味を持っていて、好きだと思う人・物・ことにもっと敏感になり、集中しようと考えて、人間関係や活動を見直している最中だった。なので、共感した。

本書では、ロールモデルを見つけることを目的に読書をすることが提唱されている。そんな考え方はしたことがなかったけど、面白そうだ。

けものみち

キャリアに関する「高く険しい道」と「けものみち」というタイプ分けは新鮮だった。「けものみち」は総合型というけれども、昔からいうスペシャリスト―ゼネラリストのゼネラリストとは、また違った意味だと感じた。上手く説明できないけれども。

ゼネラリストについて、「何でもできるが、何にもできない人」という否定的なイメージを自分は持っていた。それゆえにスペシャリストを目指そうとしていたけれど、けものみちのことを知ると、そちらの方が現実的だと思えてきた。

見晴らしのいい場所

私たちは、無意識のうちにさまざまな選択をしながら日々行動しているわけだが、その選択・行動パターンによって、運や偶然をつかむ人とそうでない人がいる。その人が磨いてきた能力に加えて「正しいときに正しい場所にいる」ことが重要で、それは突き詰めて言えば、誰かの心に印象を残し、大切なときにその誰かから誘われる力なのである。

「コンテンツ力をもっと上げろ」と現実でよく揶揄されるのだけれど、これに近いのではないか。

場所については、5年前に見晴らしが良いと思った場所が、かならずしも今もそうではないということについて、考えてしまった。

ブログ

一番反省したのはコレ。最近このブログに付けてもらったコメントから、目を逸らしがちだったこと。ちゃんと読んで反応しよう。自分は、自分で意図した以上にブログから恩恵を受けている。なのに、一時の感情でそれを寸断するのは、愚かだった。

ブログを書き「不特定多数無限大」と向き合うことでときどき味わう苦しさは、知的生産においてきわめて重要なプロセスなのである。

自分は、梅田氏と違って無限大の人に読まれているわけではない。向き合うべきは、「自分の無知に怖気づくこと」だ。

# ところで、自分のはてなダイアリーに付いたブックマークコメントを見逃さない方法って、あるのかな。皆、一体どうやって見張ってるんだろう。。。