エンジニアの未来サミットに申し込んだ+前回の感想の再掲

エンジニアの未来サミットに参加申込みをしました。今回は、こんなかんじだそうです。

第一部:おしえて!アルファギーク─エンジニアが幸せになる方法

アルファギークの面々が語る「ITエンジニアという仕事」。社会人1,2年生の悩みに答える形でトップエンジニアが自らの経験を元に,IT業界の歩き方,居場所を作るためのについて語り,議論する2時間です。

0905:エンジニア・サバイバル | エンジニアの未来サミット … 技術評論社

楽しみ♪

昨年参加してみて、とても面白かったです。gihyo.jpにまとめ記事がありました。

というわけで、前回の感想メモを載せてみます。これは以前、別のブログに書いたものです。

ちなみに、そのブログは、会社の人にバレそうになったときに、あわてて消してしまいました(他の記事にアップしていたヲタ絵を見られたくなくてw)。しかし、イベントの感想は残しておきたかったなぁと思っていたので、ここにひっそり載せておきます。

※以下の内容は、2008年9月に別のブログで書いたエントリを転載(一部削除)したものです。


土曜日、「エンジニアの未来サミット」に行ってきました。自分用に、メモと所感を雑多に上げておきます。

会場では、IRCの発言が、スクリーンの上部にリアルタイムでずっと流れていました。ついつい目で追ってしまって、とても目が疲れた……。

サミットのコンセプト

このサミットは、不安視されるIT業界の将来について、疑問や不安の声に、

業界をリードする「アルファギーク」の面々,そして今活躍している30代前後のエンジニア,いわゆる7x,8x世代の方々がお応えします

というコンセプトだそうです。対象は、

これからIT業界を目指す学生,また今IT業界に入ってきた若手エンジニア・デザイナーの皆さん

とのこと。しかし、実際の来場者のほとんどが、現在すでにIT絡みの仕事をしている人だったようです。

就職活動時、自分がもしこのサミットに参加していたらどうだったか*1

サミットの対象に学生が含まれているとのことなので、考えてみました。

IT業界を選ぶことは揺らがなかったと思います。ただ、「就職する会社は、野性の勘を働かせて真剣に選ぼう」と、強く意識したことでしょう。ちなみに「野性の勘」というのは、よしおか氏が出されたキーワードです。

今回参加してみても、IT業界そのものは、私にとってまだまだ不透明なままです。しかし、業界全体のことを考えて仕事をしている技術者、それも一流の技術者が存在するんだな、ということは、しっかり感じることができました。

心に残った3つのメッセージ

  • ソフトウェア開発の経験値を上げるためにもOSSオススメ
  • 自分の人生は、自分で責任をとって生きよう
  • 人と出会おう

1つ目と2つ目は、第一部でのよしおかひろたか氏の発言です。1つ目は、その前後の文脈も含めて後述。2つ目は、実際にはもっとマッチョな響きのある発言だったんだけど、至極当然のことをおっしゃっていると私は感じました。3つ目は、第二部*2で、パネラーの皆さんが「若いうちにやっていて良かった/やっとけば良かったと思ったこと」で、多く挙げられていた回答です。

以下、第一部について、ほぼ時間軸に沿って書きます。

「泥のように働く」

「泥のように働く」という言葉について、パネラーと学生の意見を聞き、小飼氏がツッ込んだり詰めたり。議論がまさに泥のようで面白かった。

小飼氏は、「泥のように働く」という言葉を「必死になって、誰からも評価されず、10年くらい働くこと」と定義されているようでした。そして、学生さんたちは、小飼氏がいう意味での「泥のように働く」ことを忌避しているわけではないようでした。しかし、「他人から『泥のように働け』といわれること」には、不快感があるらしい。なるほど。

「泥のように働けばバリバリできるようになるのかというと、ならない。なぜならば、多くの人と仕事をする方法論や、趣味の範囲を超えた大規模なものを作る経験が必要だから。そのための下積みは必要不可欠なわけで、つまり「泥のように働く」とは、もともとはきわめて常識的な意見だったのではないか」伊藤氏

「メディアはもうちょっと言葉を選んで欲しかったな、という感がある。ソフトウェア開発の経験値を上げるためにもOSSはオススメである。今は、中学生や高校生でも、学生時代からトレーニングを積んでOSSに参画している。また、今の企業でジレンマを抱えている社会人も、社内ではしたたかに生き抜きつつ、OSSで腕を磨くのもアリでは*3」よしおか氏

「35歳定年説」について

この話題が出されたことは意外でした。35歳定年説なんて、とっくに世界中から否定されて終了した話題だとばかり思い込んでいました。学生のときに読んだ本*4の影響だろうけど。IT業界では、まだこの議論が真剣に行われていたのか。そうか。

パネラーの皆さんのご意見は、こんなかんじ。全体的に、細かいニュアンスが違っていたらすみません。

「年齢はかんけいないと思います」ひが氏。

自分の人生、人のせいにせず自分で生きろ。35過ぎてもコードが書きたきゃ、書ける場を探せ」よしおか氏。熱い。

「管理職も悪くないと思う。でも、なんとなく無自覚に管理職になっちゃう人は不幸。35歳くらいまでに、自分が面白いと思えることを自覚するとよい」伊藤氏。非常に参考になりました。

「35歳定年説というのは、『さっさとコード書かなくていいようになりたい』と思っている人たちが言い出したんじゃないかな。ずっとコードを書きたい人にとっては、すごくネガティブな言葉だよね。コード書きたくない人は、さっさとexitすればよいよね」谷口氏。

コード志向 VS サービス、ビジネス志向

と、ここでよしおか氏が、「自分が書いたソースコードと人格が合わせてアタッチされるのが、OSSの良さだと思う」という話を出されました。これを受けて、小飼氏が、登壇していた学生さんの一人に「自分が書いたソースコードに『自分のモノ』感ってある?」と質問。

質問された学生さんは、ご自分で起こした会社で、技術的な責任者をされている方でした。その方いわく、「(自分のモノという感覚は)ないです。プロダクトを見たい。ソースコードに興味がない」。

この「『ソースコードに興味がない』発言」をきっかけに、小飼氏がショックを受けてわあわあなってました(失礼)。伊藤氏も、「技術の責任者であるからには、技術にも興味を持った方がいいのでは」と。個人的に、この一連の流れが第一部でもっとも興味深かったです。

他の学生さんの意見も、「自分は、人が満足する姿を見たい。貢献したい」、「コードはサービス実現の手段」、「コードだけ見ててもダメ。プロセスを作るのが大事」、「技術がわからない人が管理をしても、技術者は話を聞いてくれないだろう。だからコミュニケーションの手段としてコードを学んでいる」といった内容でした。

学生さんは、サービス志向で、ビジネス志向なんですね。一方、小飼氏は「ちょっと待って! ここにiPhoneがあるよね? オレはここに加速度センサが見えるよ!」と、いきなり名言。明らかに部品志向、仕組み志向、テクノロジー志向です。

ようするに、今回の学生の登壇者の方の中には、コードやコーディング自体を愛する方はいない様子でした。ちょっと意外、というのが感想です。エンジニアのサミットと銘打った場所に来るのは、プログラマになってずっとプログラマでありたいと願うような人や、アーキテクトを目指している人だろう、と勝手に思っていました。そうでもないんだな。

私には、学生さんたちの意見は、部分にこだわらず全体を見ているようで、とてもバランスが良いように聞こえました。しかしながら同時に、その意見は彼らの実感から出た言葉なのだろうかという疑問や、技術を愛する学生さんはこういう場に来ないのだろうかという疑問など、さまざまな雑感が巡りました。

技術を知っていないと、何が実現できるかが分からない。発想ができない」という伊藤氏の言葉が印象深かったです。技術、勉強しよう。

それに対する学生さんの「技術を知っているからこその限界があるんじゃないですか?」との意見に、「ないよ」とバッサリ返していたよしおか氏がカッコよかったです。「限界を決めるのは自分。何が実現できるかなんて、試してみないとわかんないんだから」。カッコいい!

IT業界、世界と日本

このあたりから、技術者が会社や管理者側を変えていくために何をしていくべきか、あるいはパネラーの方々が何をしてきたか、という話になりました。また、国内外のSIerのあり方の話なども出ました。

話に聞き入っていてあまりメモをとっていなかったため、流れなどは割愛します。

「設計する人がコードを理解していないとダメだ、と会社に言い続けた。会社は今、コードを書ける人を育てる方向に変わってきた。同時に、自分自身もコードを書いてOSSにかかわるようになった」ひが氏。

「やるか、やらないかである。自分が何をやるかを積み重ねていくと、今の自分になる」よしおか氏。

「マネージャになりたくない、コードを書き続けたい。その一歩としてOSS」ひが氏。

「技術を究めたい人が技術を活かし、さらにそれをビジネスに結びつけるには、マネージャの力が必要である」伊藤氏

「(IT業界は)会社にいるだけで技術が身につくものではない」伊藤氏

ひが氏や小飼氏によるIT業界についての解説が、とてもわかりやすかったです。

「日本のSIerの多層構造は、日本の雇用形態によって作られた。終身雇用が主流であった日本では、人を簡単に解雇できなかった。とはいえ、ITの案件は常時あるわけではないので、会社がSEを大勢抱え込むのは負担である。そこで、会社はIT案件をSIerに投げるようになる。そして、SIerも、1万人必要な案件を請けるからといって、1万人は養えない。だから、一部を下請けの会社に投げる。多層構造は、その積み重ね」ひが氏。

「中国やインドのSIerは、国内の下層下請SIerと比べて、技術へのリスペクト度や、『自分たちが持つ技術をもっと伸ばそう』というあたりが全然違う。勝負はもうついているようなもの」小飼氏かよしおか氏。忘れた。

「技術があるエンジニアが、技術への対価を会社にきちんと要求すべき」ひが氏

「エンジニアが言えない環境にあるのではない。ぬるま湯につかっていて、言わないだけである」これも誰だったか忘れたけど、よしおか氏かな。

どうすれば面白い会社を学生が選ぶか? 学生が会社を面白いと判断するために必要な情報とは何か?

これは、伊藤氏が学生さんに投げかけた質問です。学生さんからは、「企業がインターンシップを企画して、学生に職場を見せて欲しい」という意見が出ました。たしかに、インターンシップは、OB訪問よりも直接的に会社に触れられるので良いと思います。

半年前まで学生だった者として意見をいうと、会社の中にいる突き抜けて面白い人たちが、今回のようなサミットや、セミナー、勉強会などに、これからもどんどん露出してくれれば良いな、と願っています。面白い会社を探している学生なら、セミナーなどの場に積極的に行くことでしょう。そこで見た面白い社員の姿に憧れ、ひいてはその社員が所属する面白い会社がしていることに興味を持ち、就職活動時にエントリーするということが起きるのではないでしょうか。

会場からの質問。どう転職したらよいか?

「多層構造のトップにいる企業は潰れてしまえばよい。多層の底辺の会社にいる場合、辞めるしかないかもしれない。しかし、個人が会社を変える努力をしてみるべき」ひが氏

最後に

「学生さんがステレオタイプな情報に毒されている印象」と伊藤氏。

「東京は、勉強会もセミナーも多い。自分が積極的になれば、変えられる」よしおか氏。力強いメッセージに、元気をもらいました。

ここまでで第一部。濃い2時間でした。最後の方は聞くのに集中してしまって、メモが支離滅裂に……。楽しいイベントでした。行ってよかったです。

*1:もう2年前のことなので、想像でしかないですが

*2:第二部も面白かったのですが、終わってみると第一部の印象があまりに強かったので、メモと所感は第一部だけということで。

*3:社会人に関するくだりはうろ覚え

*4:プログラマ主役型プロジェクトのススメ』とか