7月に読んだ本

7月は技術書以外の本を数冊読んだので、なんとなく備忘にメモしておきます。

小野不由美丕緒の鳥

いきなりラノベ。出張先で新幹線のお供を探していた時に買いました。前作(「華胥の幽夢」)から12年ぶりだとは……。今回もまた短編集でしたが、そろそろ長編が読みたいです。十二国記のオチを読むまでは死ねません。

陽子をはじめ海客の話がほとんど出てこないので、現代日本で生活する登場人物が紛れ込む異邦譚ではなく、完全にファンタジー世界として閉じた話になっていました。小野さんが書く日常と非日常の交錯がとても好きですが、これはこれでよかったです。

表題作が一番好きです。読んでいて頭の中にカラフルな映像が浮かびました。

堀辰雄風立ちぬ

宮崎アニメを見に行く前に、青空文庫で読みました。

風立ちぬ

風立ちぬ

この主人公は、サナトリウムで療養する女性について行き、仕事をほったらかして日がな一日ぼんやり過ごすという、宮崎アニメの方の主人公と対極の行動をとるので、映画を見た時は本当にびっくりしました。真逆やんと。

独りになった主人公が山奥で過ごす第三部が好きです。

堀辰雄『菜穂子』

映画を見た後、冷泉彰彦さんの記事を読んで、なるほどそんな本があったのかと思い、青空文庫で読みました。

菜穂子

菜穂子

ヒロインの息苦しさが伝染しそうな話ですが、すごく面白かったです。こちらのヒロインは、小説『風立ちぬ』のヒロインよりもたしかに現代的な感じで、冷泉さんの記事の意味が少し分かった気がします。

「母親が書き遺した日記を娘が見つけて書き継ぐ」という物語の枠組みが、この時代にすでにあったのかと感心しました。もっと後の時代のミステリにありそうです。

角田光代『八日目の蝉』

ngtykさんのブログを読んで気になったので、図書館で借りました。引き込まれて一気に読んでしまいました。

八日目の蝉 (中公文庫)

八日目の蝉 (中公文庫)

角田光代さんというと女性のドロドロした愛憎劇を書く人という先入観があって、これまで読むのを避けていました(なんか読むと疲れそうだから)。実際ヘビィな話でした。でも、文体は軽くて読みやすいです。

作中では、前半の主人公が恋敵の女性から言われたセリフ(「あなたはがらんどう」云々というもの)が、非常に重い扱いをされています。しかし、その言葉を言われた主人公の衝撃には、読みながらあまり同感できませんでした。たしかにひどい言葉ではあるけれど、いやいやそんくらいで人ん家の子どもを誘拐すんなやと思ってしまいました。もしかしてこういった感慨しか持てないのは、人の心をえぐるような罵詈雑言をインターネットであまりに日常的に目にしているせいかなぁと思いつき、ちょっと暗澹とした気分になりました。

読み終わって、夏の小豆島に行きたくなりました。

マイク マクマナス『ソース あなたの人生の源はワクワクすることにある。』

何かの記事を読んで気になって、図書館で借りて読みました。タイトルで分かるとおり、自己啓発本です。ソースといってもソースコードじゃないです。

ソース~あなたの人生の源は、ワクワクすることにある。

ソース~あなたの人生の源は、ワクワクすることにある。

「ワクワクすることをやれ。イヤなことは極力するな。やりたいことに優先順位をつけるな。ワクワクすることは全部少しずつやれ。技能は気にするな」という内容です。都合のいいことばっかり書いてるなーと思いましたが、「得意を仕事にせねばならない」といった思い込みよりも、こっちのほうが人間的なのかもしれないと感じました。

問題児の高校生ばかりを集めたクラスで、生徒一人ひとりの興味に合わせた学習カリキュラムを組んだところ、彼らが生き生きと勉強するようになった、という序盤のエピソードが非常に面白かったです。たとえば、プロボクサーになることにしか興味がない非行少年に、ボクシング雑誌を教材として与え、授業中に読むことを許可するのです。そして、数学の勉強として、リングの面積を計算させたりしたそうな。彼は自分の興味に関連することを勉強できたことで、どんどんやる気を出していったと。これはすごいなぁ。

そんな感じでした。