hbstudy#21「AWSの質問になんでも答えます」へ行ってきた
第21回hbstudyに参加してきました。
アマゾンデータサービスジャパンの荒木靖宏さんが、参加者の皆さんから事前に集めた質問+その場で出た質問に、一つ一つ答えてくださいました。hbstudyスタッフの皆さん、荒木さん、貴重な時間をありがとうございました。とても面白かったです。
以下は、考えたことの覚書きです。(勉強会のレポートではアリマセン。。。)
結論をいうと
ソリューションプロバイダとして、サービスやツール開発でがんばるのは、スピードとニッチ開拓力がある企業でなければきびしそうだと感じました。AWSが手を出さない「公平でない」領域を探して、顧客に特化したアプローチを取るしかないのかな、と思いました。
とにかく「エコシステム」のありようがきびしい
一番印象に残ったのが、AWSとAWSソリューションプロバイダとの「エコシステム」と呼ばれる関係でした。
AWSソリューションプロバイダとは?
AWSソリューションプロバイダとは、AWSを利用したソリューションやサービスを提供するSIerやサービスベンダのことです。ソリューションプロバイダになると、AWSとNDAを結び、一般に公開しているよりも先のロードマップを教えてもらうことができます。
AWSのサービス拡張戦略は、最大公約数への重点投資というシンプルなものです。つまり、顧客からの要望が多い部分から、順次増強しているとのことです。そのため、AWS本体がカバーしない範囲の需要が、市場に残ります。そこで、ソリューションプロバイダが、残った需要に対して"かゆいところに手が届く"ソリューションを提供し、お金を儲けるというわけです。
しかし、ソリューションプロバイダが開発した機能やサービスであっても、もしたくさんの顧客が必要とした場合には、AWSが後から手を出して自ら開発・提供することもありえます。そう、AWSは最大公約数に投資するのです。
これをどう捉えるかは、立場次第です。プロバイダからすれば、せっかく作った大きなパイを本家に取られて涙目ですが、顧客からすれば、信頼と実績の本家サービスに安く乗り換えられてうれしいかもしれません。
ここで重要なのは、そういう仕組みが存在するということです。
プロバイダ提供のソリューションの例
参加者から出た「こういうサービスはないの?」「こういう機能が欲しい」という質問や要望に対して、荒木さんがソリューションプロバイダのサービスをいくつか紹介されていました。それらは、たとえば、次のようなものです。
- Q. もっと素人向けのシンプルなマネジメントコンソールが欲しいです。
- A. Cloudworksをお使いください!
株式会社サーバーワークスさんが、Cloudworksという独自コンソールを提供されています。Cloudworksは、日本語のユーザインタフェースを備え、ジョブスケジューリング設定がカンタンにできるなど、日本企業の使い方に沿った作りになっているそうです。
- Q. 従量課金じゃなくて、定額のサービスはないんですか?
- A. cloudpackをお使いください!
アイレット株式会社さんが、cloudpackというAWSの課金の仕組みをラップするサービスが提供されています。手厚い導入サポートのソリューションもあるそうです。
・・・と、こんな具合です。
サービスやツールで稼ぐには条件がある
もうすでにAWSはメインストリームやん…それにこの先、どう見てもレッドオーシャンです、本当にありがとうございました…という感想を持ちました。
このような状況でも、小回りがきく集団であれば、気の利いたサービスやツールを作って、稼げるかもしれません。小回りがきくとは、ニッチを作り出す独創性と、他社の機先を制する実装力があるという意味です。
しかし、2つのリスクがあります。1つは、他社が類似のソリューションを出してきても勝てるだけの独自性がないと、ただでさえ小さいパイを奪い合って先細りになってしまうというリスクです。もう1つは、パイが一定以上のサイズに育った時に、AWS本体に食べられてしまうというリスクです。
動きが遅く、尖った発想も出せない企業が、上に挙げたような会社の見よう見まねで「ちょっと使いやすいコンソール(ただし、それを上回るものを他社がすぐに作れるレベルのモノ)」や「ちょっと欲しかった付随サービス(ただし、AWSがその気になれば対応可能な範囲のモノ)」で勝負しようとすると、討ち死にすると思いました。
そんな中でどうやって儲けていけばよいのだろう
AWSはインフラ屋さんです。今回の勉強会で言及されていたとおり、計算機資源をぎりぎりの安い値段で提供するために、リソースとサポートは切り離して提供されています。また、特定の顧客専用にカスタマイズしたソリューションを、AWS本体が提供することは(少なくとも今のところは)ないようです。
AWSがこの姿勢を貫く限り、その逆をいく「特定の顧客や業務ドメインに特化したサービスやプロダクトを開発して、上から下まで全部サポートする」というソリューションであれば、本体に取って食われることはなさそうです。・・・がしかし、それはつまり、パッケージングしたモノを売らないということでもあるので、ソリューションプロバイダ側としては当然しんどいでしょう。
また、スピードとニッチさを武器にしない(できない)場合は、代わりに、「時間をかけてでも、法的・技術的な安全性を担保するシステム構成を提案する」など、他所と違うターゲットを狙う必要があるかもしれません。。。
というわけで
仕事の後に半分遊びのつもりで参加したのですが、色々とショックを受けて帰ってきました。うひ。でも、良い刺激になりました。
今回は他の予定があって懇親会には参加しなかったのですが、(エンドユーザ、ベンダ、中の人を問わず)AWSと関わりのある人と、今後もっと話をしたいです。どうぞよろしくお願いします。