「第9回 AWS User Group - Japan 東京勉強会」へ行ってきました

秋葉原で開催された「第9回 AWS User Group - Japan 東京勉強会」へ行ってきました。

備忘メモをupしておきます。

# 間違いや、「この話は消して」等、もしありましたら、コメントやTwitterでご連絡ください。

所感

怒涛のようなLT祭りで、とても面白かったです。

久川さんによる飛行石のデモンストレーションを見て、初っ端から胸がいっぱいになってしまいました。

Youtubeで動画を見たときも、発想の美しさに何だか泣きそうになりましたが、作ったご本人の解説と実物を前にすると、ものづくりをする人への尊敬も相まって、感動がひとしおでして。。。凄い!カッコええ!と大コーフンでした。聞けてよかったです。

それから、Zmandaの坪井さんといえば、1年半前にhbstudyでお話を聞きました(http://d.hatena.ne.jp/torazuka/20100120/hbstudy)。

当時は、「便利そうだけど、沢山のサーバを並べる必要があるから、検証ひとつするのも大変だなー」なんて思っていたものです。あの頃はまだ、AWSを触ったこともなかったので・・・。

それが、今はAWSを使って、複数のサーバをカンタンにそろえることができます。もちろん、バックアップや監視を個人で検証することも、物理マシンを並べずにできますね。

山崎さんのお話にあった「教育にAWSはピッタリ」というのは、こういう基本的な部分にも見られるなぁと思います。良い時代ですね。

というわけで、主催の皆さん、発表された皆さん、楽しい時間をありがとうございました。

以下、詳細です。

(夏一番!)「AWSアップデート」 Amazon Data Services Japan 玉川([twitter:@KenTamagawa])さん

全国で開催されてきたJAWS-UGの勉強会が、9/25、ついに沖縄で開催されるそうです。おめでとうございます。

前回の第8回勉強会(2011/04/28)からのサービスアップデートは、次のとおり。

顧客リクエストの反映
  1. Elastic BeanstalkでのTomcat7サポート開始
  2. Mobile SDKの強化。EC2、SESなどもサポート
  3. CloudFrontの機能拡張
    • URL指定でのコンテンツ配信
    • デフォルトのルートオブジェクト指定できるようになった
  4. CloudWatchでアプリケーションレベルのメトリクスを保存できるようになった
  5. ELBアップデート
    • IPv6に欧米のリージョンで対応
    • Zone Apex対応(Route53と組み合わせることで、「www」なしのURIで繋がるようになった)
    • Security Groupの設定で、ELBからのアクセスに対する制御ができるようになった
  6. Amazon Import/Exportで、S3に加えて、ESBスナップショットを扱えるようになった
  7. EC2スポットインスタンスが、アベイラビリティゾーンを指定できるようになった
    • これまではリージョン単位だった

ベータが取れて正式版になったもの

  1. IAM
  2. Route53

Amazon エコシステムの拡充

ベンダーとのリレーション強化によって、顧客にもたらされたアレコレ。

  1. Microsoft
    • ライセンス・モビリティ on AWS
    • SharePointやExchangeのライセンスを、AWS上でもオンプレミスでも使えるようになった
  2. Oracle
    • Oracle RDSの開始
    • ライセンス持込みと時間課金に対応
  3. SAP
    • SAPがAWS上でシステムが稼動することを保証した
  4. Red Hat
顧客への還元
  • AWSに向けてのデータ転送の無料化
最後は、お決まりのメッセージ

AWSはITのデモクラシー、黒船クラウドなんて言って敬遠せず、バンバン使いこなしてね!」とのことです。

AWSAndroidArduinoで飛行石を作ってみた」 株式会社鳥人間 久川([twitter:@hisashin])さん

動画「ラピュタの飛行石を作ってみた」(http://www.youtube.com/watch?v=tVVP8hKao4A)の飛行石作成プロセスのご紹介。

ここでいう飛行石とは、レーザーで国際宇宙ステーションの位置を指し示す機械で、久川さんがイチから手作りされた。軌道計算のためのサーバに、AWSを利用している。

久川さんからのメッセージ(概要)

今回の発表では作成プロセスを紹介します。これは、簡単に挑戦できるものです。

皆さん、サーバをいじるのもいいですが、たまには物理的なものづくりにも、ぜひ挑戦してみてください。

今は、はんだづけカフェというものもあって、そこへ行けば半田付けのやり方を教えてもらえます。

Make(http://jp.makezine.com/)も楽しいです。

久川さん自己紹介

株式会社鳥人間の社長の久川さんは、Webエンジニアで、プログラマをされている。

一方、学生時代に鳥人間コンテストに出場されていたこともあり、ハードウェアも好きで、こだわりがある。

国際宇宙ステーション

宇宙ステーションは飛行機のような速さで動いていて、地上から肉眼で見ることができる。点滅はしない。

また、宇宙ステーションの位置は、誰でも計算できる。NORADhttp://www.norad.mil/)が軌道情報を提供しているし、軌道計算モデルがGPLで出ている。久川さんは、軌道計算のJava実装を自分で作って持っている。高い精度が必要なため、BigDecimalで計算するらしい。

以前から、宇宙ステーションの場所を指し示すiPhoneアプリを開発・販売されていたが、「これをレーザーでやれば飛行石だ」と思い、作ることにした。

作成手順

まず、Google SketchUpに初挑戦して、実物大の模型を作成した。1ミリレベルで調整が効いて便利。しかも、無料。久川さんは、3日で描けるようになった。

次に、Arduinoで、Pinの入出力(信号線割り当て)を書いて実現した。

  • Arduinoとは、クリエイティブコモンズライセンスのOSSハードウェア
    • ライブラリが充実していて、Servoライブラリというのもあった
  • 飛行石を実現するために必要な GPS、コンパス、インターネット接続なども手に入った
    • Arduinoは、数百円のパーツをはめれば、ケーブルを刺して、ネットワークプログラミングができる

しかし、Arduinoはとても小さいため、doubleの計算がやっとできる程度だった。Android端末と連携させたが、それでもきびしかった。(連携は、Bluetooth通信)

そこで、クラウド上のサーバに担当させることにした。(ここでAWSが登場!)

そして、電子回路の設計をして、変圧回路を買ってきて、半田付け。

最後に、外箱を作成して、完成した。

デモンストレーション

電気を落とした会場で、飛行石と天井の間に漂うドライアイスの湯気を、緑色のレーザーが上へ貫いていました。

所感にも書きましたが・・・本当に感動でした!!


「教育という用途とAWSの相性の良さ」 ゼロスタートコミュニケーションズ 山崎([twitter:@zaki])さん

チューニンガソン

山崎さんは、先日、チューニンガソンというイベントを開催した。これは、2時間半でサーバをチューニングして、アプリケーション実行時間をより短くできた人が勝ち、という内容。今回はWordpressのコメント書き込みを大量実行した。

その際、サーバスポンサーをAWSに依頼した。準備するサーバに関して、次のような要求があった。

  • 数時間だけ大量に欲しい
  • 同条件のマシンが欲しい
  • クリーンリスタートが何度もしたい

後から考えると、これらの要求は、AWSを使うのに向いていた。

  • 同じセットアップ手順で、ハードウェア性能を変えられる
  • スナップショットが気軽に取れる
    • チューニンガソンのバトル条件を色々作って、スナップショットで保存しておける
  • サーバの大量起動がラク
  • 必要な時間だけ動かせるので、安い

「スパイクのあるシステムが最もAWSに向きます。このようなイベント系、つまり、使用ゼロの時間が長いものも、いわば"スパイクがある"のです」とのこと。

ハマったところ
  • インスタンス数上限が20だと知らなかった
  • 作ったばかりのアカウントだとすぐに大量起動できなかった
  • 会場で22番(tcp)ポートがフィルタリングされていた
    • 一括で、sshdのポートを443番に変更して対処
Amazonへの要望
  • Elastic IPアドレスをプール指定して、バルクで起動したい
  • Key Pairもおなじく(ただし、これはチューニンガソンのバトル独特の要望とのこと)
  • マネジメントコンソールで、複数のインスタンスを範囲選択したい
教育への応用

「Asakusa on AWS」 [twitter:@merblejenka]さん

Hadoopについて

Hadoopは、大量データ処理のためのフレームワーク。ディスクI/Oを分散させるアーキテクチャを持つ。

ただ、Hadoopを業務システムで使うには、いくつか問題がある。

Asakusaについて

これらの問題へのアプローチを用意したのが、Hadoopの薄いラッパーであるAsakusa Framework。
特徴は、JavaによるDSLをサポートしていること。

  • 変更容易なDSLで業務処理を書けるようにした
  • トランザクションは作れないけど効率的にやる(RDBMSから読み出して、RDBMSに書き戻す)
  • テストツールの提供

最近発売されたムック『みてわかるクラウドマガジンvol.3』に、Asakusaの記事が掲載中。

Asakusa on EC2
  • 分散実行しないバージョンのAsakusaを入れたAMIを公開中
  • CIをAWSで実行している
  • 完全分散用のツールを使用して、クラスタをEC2に自動生成するもの(未公開・・・クラスタインスタンスがまだ東海岸にしかなく、ツールが十分な性能を発揮できないため、調整中)

また、EMRで実行されるHadoop0.20.0では、使えないという課題があるそうです。

現在、実案件でAWSの使用を検討中、らしいです。今後は、汎用的に使える部分をOSSにしていきつつ、EMR対応も検討している、とのことでした。

Red Hat Enterprise Linux on EC2」 Red Hat 石井さん

  • 国内OS市場が全体的に縮小する中、Linuxだけは成長している
    • 震災の影響を受けた予測でも、Linuxの平均成長率は伸びる見込み
  • シェアは、すでにUnixを超え、次はMainframeを超えるだろうといわれている
  • 他のプラットフォームからの移行の検討は、Windowsが52.6%を占める
  • 証券取引所Red Hatを採用。

今回、AWSでもRed Hatインスタンスの時間単位チャージ、インスタンス展開を開始した。

また、Red Hatクラウド製品戦略には、IaaSにCloudForms、PaaSにOpenShiftがあるので、そちらも見てね。

・・・といったお話でした。

「Zmandaとクラウドバックアップ」 Zmanda, Inc. 坪井([twitter:@ytsuboi])さん

バックアップツール・Zmanda(http://zmanda.jp/)の紹介。

Zmandaについて

OSSで無償のコミュニティ版と、サブスクリプション版がある。クラウドバックアップの分野で有名な製品。

Zmanda, Inc.は、もともとOSSのAmanda(http://www.amanda.org/)コミュニティのメンバーが集まってスタートした会社。
日本に代理店があり、日本語対応を行っている。USでは、AWSのソリューションパートナーでもある。

製品ラインナップ

3種類ある。

  • Amanda Enterprise
    • OSS製品の商用版。S3にバックアップ
  • Zmanda Recovery Manager
    • EC2のMySQLをクイックバックアップ(EBSに)

・・・というところで、説明に入るかと思いきや、まさかの時間切れ。

坪井さんによると、「バックアップツールにお金かかるの?と思われそうだけど、最近AWSへのデータの転送料が無料になったので、これは大きい(お得に使える)」とのことでした。

また、8月2日に、Zmanda クラウドバックアップセミナー(http://atnd.org/events/17539)というイベントを開催されるそうです。

補足

勉強会終了後に坪井さんがtweetされていたコレ。Zmandaの正しい発音が分かります。

ここから、ライトニングトーク5分枠

「雲(AWS)に願いを」 CloudPack 鈴木([twitter:@suz_lab])さん

Twitterで、「Amazonへのお願い」を短冊に書いて、ローソンの七夕飾りの笹に吊るしたと話していたら、

ADSの人が、「Amazon CTOのヴァーナー・ボーガス氏にユーザ要望として伝える」と言い出し、

あれよあれよという間に専用ページが作られ、ハッシュタグができて、

ハッシュタグ付きでtweetされたお願いは英訳付で掲載されるという状況になった。

結果、集まったお願いが107個。参加者は104名。

賛同する「お願い」はRTする、というルールにして、七夕の後に集計したところ、次のような結果になった。

4位以上(同票同位アリ)

  • 課金情報を取得できるAPIがほしい
  • 玉川さんの仕事が子どもに理解されますように(→玉川さんのスライド参照)
  • ELBでsorry画面出せますように
  • 64bit small インスタンスができますように

そして、1位は、

  • PostgreSQLのRDS版ができますように
  • VPCが東京リージョンにきますように

だったそうです。

なお、「AWSでも、Azureのように、データセンターへのデータ送信が無料になりますように」というお願いもあったけれども、七夕より前に叶っちゃった、というちょっといいハナシもありました。

「IAM使い倒し」 李([twitter:@awk256])さん

IAMとは、AWSのアカウント管理機構
  • ユーザID、パスワード、アクセスキーなどを設定できる
  • ユーザグループとユーザの階層構造を持つ
  • 各サービスの使用について、パーミッションを設定できる
  • マネジメントコンソールから使える

ブラウザで、アカウント名の入ったユーザ専用アドレスからログインすると、マネジメントコンソールが表示される。ただし、セキュリティ証明書などへのリンクは非表示になっている。

パーミッション付与
  • 「ポリシー」をJSONフォーマットで作成できる
    • 手書き or テンプレート使用
  • 細かく制御できる
    • APIアクション名、コンディション
パスワードについて

わざとパスワードを50回間違えてみても、ロックされなかったので、

「50回以上チャレンジしても、第三者に知られないパスワードにしてください!」

とのことです。

「CloudWatchのカスタムメトリクス使用例」 田名辺([twitter:@dateofrock])さん

CloudWatchの新機能・カスタムメトリクスについてのお話。

JMX Custom Metricsってことで、ヒープメモリの状態をJMXで取得し、リクエストを作成してCloudWatchに送信、グラフ表示して楽しむ、といったことをされたそうです。

今回のデモは、Twitterのfollowerの増減データを取得して、Androidからputする、という内容でした。・・・たぶん。

というのも、「今すぐTwitterでfollow me! でないとデモが成功しません!」と冒頭でおっしゃっていたので、フォローしたわけですが、如何せんガラケーなので打ち込むのに手間取ってしまい、お話に集中できませんでした。やっぱりスマフォにしないとダメですね (^^;

あとでデモ結果をtweetします、とおっしゃっていましたが・・・

成功だったそうです。おめでとうございます。

Oracle RDS使ってみた」 CloudPack 後藤([twitter:@kaz_goto])さん

Oracleといえば
  • ライセンスが高い
  • インストール/運用が手間
  • 機能が多すぎる

・・・と思いがちだけれども。

RDSのOracleなら

「ライセンスが高い」 →

  • 時間単位で使える。一時的な性能アップもOK
    • smallなら0.18$/時間と安い
    • 物理サーバで動かす場合と、ライセンス計算方法が違う。計算はややこしいけど、お得。
  • テスト目的で動かすだけなら、お試しできる

「インストール/運用が手間」 →

  • セットアップ済みなので、起動するだけで使える
    • 設定はブラウザから行う
    • バックアップも自動化
    • パッチあて、マイナーバージョンアップは、AWSが自動でやってくれる

「機能が多すぎる」→

  • RAC
  • UTF
  • MultiAZ

・・・などの機能が、RDSには(まだ)ない。・・・いやー本当にシンプルですね! という、泣かせるお話でした。

「fluxflex 正式版リリースの紹介」 深海([twitter:@d_sea])さん

7月11日に正式リリースされたfluxflex(https://www.fluxflex.com/)は、Cloud Hosting Service。

モットーは、「開発者のための理想的なホスティング環境を作ろう」

TwitterFacebookのアカウントでログインできる。

目玉機能は、「Github Import」。リポジトリから直接デプロイできる。Githubは、現在、88万ユーザ、241万レポジトリ。これらをすぐにデプロイして公開できる。

特に動かしたいソースがない人には、「ワンクリックインストール」。RedmineWordpress、ユーザがupしてくれた様々なツールが、ワンクリックで使える。

リリース後、メディアに取材を受け、Penn Olsonに掲載されて、日本だけでなくアメリカ、アジアにも伝播した。

Twitterアカウントだけで始められるので、ぜひWordpressをワンクリックで試してみてね、とのことです。

・・・で、ここから、常連/ネタ枠

常連/ネタ枠・その1 得上([twitter:@tottokug])さん

Simpleが頭につくサービスは、httpのみのインバウンド・・・

Elasticがつくサービスは、http以外のインバウンド・・・

Route53といえば、53番を開けてDNSプロトコルを受けている・・・

Amazonサービスの名称から、通信プロトコルが把握できる。それを知っていると・・・!というネタでした。

常連/ネタ枠・その2 大石([twitter:@ooishi])さん

サーバーワークスさんの無償AWS管理コンソール・Cloudworksは、登録ユーザ数がすでに907人。

「やらないか」エディション…ではなく、Businessエディションが出るそうです。

  • 複数アカウント管理
  • 30GBを超えるサイズのAMIをリージョン間コピー
  • 利用料を合算してだす機能

また、人材募集中で、「アフター7パスポート!夜19時からお試しで働けます!」とのことでした。

というわけで、メモは以上です。