「ほぼ週刊AWSマイスターシリーズ Reloaded 〜AWS Direct Connect〜」メモ
AWSのウェビナーを聞きました。
今回のテーマは、AWS Direct Connectで、講師はAmazonソリューションアーキテクトの荒木さんでした。
Direct Connectというのは、エンタープライズで話題沸騰中の専用線サービスですね。BtoB! BtoB!
内容と質疑応答のメモを取ったので、貼っておきます。
- AWS Direct Connect(公式、日本語ページ) http://aws.amazon.com/jp/directconnect/
- Togetter http://togetter.com/li/253403 (by [twitter:@kaz_goto]さん)
- AWS Direct Connect 詳細 - AWSマイスターシリーズ Reloaded http://www.slideshare.net/kentamagawa/aws-direct-connect-aws-reloaded
責任範囲の話や、冗長化を考えたときにどうするかという話のあたりが、特に参考になりました。ありがとうございました。
本編メモ
Direct Connectの特徴
課金
回線利用料+データ転送量で計算される。
- 回線利用料は全リージョンで同じ値段
- 1Gbpsポート: $0.30/時間
- 10Gbpsポート: $2.25/時間
- データ転送量は、AWSへのインは無料。アウトは $0.045/GB
- たとえば、通常のインターネット接続では $0.2/GB〜$0.12/GB
注意点
- Public IP transitは行わない
- カスタマー間での直接通信はできない
- リージョンごとの独立した契約
Direct Connectで何ができるようになるのか?
AWSが、ネットワークとセキュリティへの3つの回答を提供します。
東京リージョンにはS3(EBS)へのImport/Exportがありませんでした。これからは、代わりにDirect Connectをどうぞ。
また、そのうちImport/Exportの代行ビジネスなんかも、誰かやってください。(←えぇっ!?)
事例
- オンプレミスとのハイブリッド環境
たとえば、DATAPIPE社のサービス http://www.datapipe.com/products_services/managed_cloud/ では、変動するリソースをAWSに置き、Oracle RACはオンプレミスのDCに構えている。
オンプレミスにあるホストに、Virtual Applianceを入れる。(Virtual Applianceは、背後でアプリケーションサーバとiSCSIで通信する)
Virtual Applianceは、スナップショットをAWS Storage Gateway Serviceに送り、それがS3へ行く。
この時、VirtualAppianceとStorage Gateway Service間が、ただのSSLだと速度が足りない場合に、Direct Connectを使う。
(明後日、ウェビナーで扱うから聞いてね!とのことです)
- バックアップのさらにバックアップに
lifeline社の BLACKCLOUD EDGE v1.0(http://www.itlifeline.net/BLACKCLOUD.html)では、その用途にStorage Gatewayを使っている。このとき、速度が必要なのでDirect Connectを利用。
- マルチホーム(cloudhub)での利用
cloudhub(http://docs.amazonwebservices.com/AmazonVPC/latest/UserGuide/VPN_CloudHub.html)とは、Virtual Private Gatewayがハブになる接続形態で、VPCにすでにある。
このハブへの接続はVPNだが、Direct Connectを利用してもよい。
- キャリアの広域LANサービスでの使用
最もデータが集まるところに、AWSを一拠点として追加する。
AWS Direct Connect Solution Provider
Equinix、KVH、NRI、NTT Communications、Softbank Telecom…(敬称略)
- いろいろな手続きを肩代わりしてくれるので、面倒な人はお任せしましょう
- 自分でやるぞって人はSolution Providerの仕事にチャレンジしてね!
Direct Connectの構成概要
東京リージョンのDirect Connectの相互接続ポイントは、Equinix TY2(東京都品川区)です。AWSは、TY2内のAWS用ラックに、1Gbpsと10Gbpsの接続口を用意しています。
Direct Connectを使うには、まず、TY2と契約してラックを借りましょう。そこに必要な機器を自分で置きます。重要なのは、WAN終端装置とルーターです。
次に、エンドの拠点から(キャリア経由で)TY2内の自ラックに置いたWAN終端装置まで、線を引きます。そして、終端装置から、自ラックのVLANルーターへ繋げます。ここまでが、ユーザ側の責任範囲です。
最後に、上記のルータから、AWSラックのルータまで、TY2の構内配線で1Gbpsあるいは10Gbpxの線を繋いでもらいます。ここは、コロケーションプロバイダの責任範囲です。
質疑応答
- Direct Connectの試験環境を提供してくれるプロバイダは? 物理接続のテストはやりにくいです…
- 面倒なことはソリューションプロバイダーさんにお任せしましょう!w ルーターのVLAN設定と、VPC設定が必要です。VPCでおなじみのIPSecの部分が、VLANになるだけではありますが・・・。AWSがconfigの検証をしているルーター(Cisco、Juniper、YAMAHA、他2社)等、BGP接続できるルータを選んでください。
- 大阪にもDirect Connectは来るんですか?
- TY2のAWSラックというのは、2ラックあります。1ラックに1ルータが設置されています。そして、Meet-me-room(MMR)までの回線は、2系統です。ですから、もし冗長性が心配な場合は、まず、1Gbps、10Gbpsの構内配線を2本にすることを検討してください。次に、大阪など他地域の話になります。
- 具体的にどんなふうに接続できるんですか?
- 自社で手配する場合、まず、回線業者を選び、1Gbpsか10Gbpsの回線を契約します。次に、TY2に接続点ラックを契約して、いろいろ置きます。AWSがEquinixさんを選んでいるのは、キャリアニュートラルだからです。 どんなキャリアの回線契約も、理論上可能。たとえば、極端な話、NGN光NEXTとかWiMAXサービスのキャリアとかもOKです。
- AWSとprivateピアを張るという認識でいいんですか?
- Yes. ただし、Direct Connectを利用したPublicサービスとの接続と、privateピアには、違いもあります。まず、AWSはISPではないので、お客様の回線をtransitしません。また、VPCへの回線は独立していて、Private AS番号を使います。この場合、Private Peeringという言い方はそぐわないでしょう。
- 西海岸の二箇所(北カリフォルニアのロサンジェルスとサンノゼ)は、どう使い分ければいいんでしょう? オレゴンには繋げられないのでしょうか?
- ロサンジェルスに近ければCoreSite、シリコンバレーに近ければEquinixを使ってくださいね、といった感じです。でも、場合によっては、両方ももちろん有りです。要望の量や精度によっては、今後増やしていいきます。オレゴンやサンパウロは、いつとはいえませんが、近い将来に予定しています。
- 日本の料金は税込ですか?
- おそらく。確認します。
- 構内配線の耐障害性、冗長性はどうなってますか? また、専用線のバックアップ回線はあるんですか?
- お客様ラックにももう1個ルータを置いて、AWS側の2台のルータと、それぞれ繋ぐことになると思います。VPCのRedundant Connection(http://aws.typepad.com/aws/2011/08/amazon-vpc-far-more-than-everywhere.html)と同じで、BGP的に切り替わります。他にも、VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)を使ってもいいでしょうし、エンド拠点からTY2さんまでのキャリアの管路を2本以上用意するのもいいと思います(その場合、Equinixさんに2本の経路を引きたいと相談すればよいです)。もちろん、AWSラックのルータからAWSへは、複数本の回線で冗長化しています。もしTY2さん自体が災害の影響を受けたら?という質問には、インターネット側での別サイトや、マルチリージョンを提案しています。
(お客様ラックのルーターA)□――――(構内配線)――――■(AWSラックその1のルーター)
(お客様ラックのルーターB)□――(別系統の構内配線)――■(AWSラックその2のルーター)
# こんな感じでしょうか。
- Direct ConnectのSLAはありますか?
- 定義していません。AWSの他のサービスと同じ 99.95% は、最低あります。Direct Connectは、他のサービスと一緒に使うものなので、トータルで考えてください。
- ソリューションプロバイダーの対応や支援状況はわかりますか?
- プロバイダーさんに直接聞いてください。オープンになっている情報としては、Equinixさんはコロケ貸しなので場所を借りたいときは相談してください。広域LAN話は、キャリアさんとして、NTTコムさんとソフトバンクテレコムさんにどうぞ。
- 災害時の復旧予想時間はどれくらいですか?
- はっきりいえません。というのも、責任範囲が、AWS、コロケーション、ネットワークプロバイダ…と分かれているからです。キャリアさんの回線が壊れたら、今時であれば数十msecで切り替わるでしょう。お客様ラックのルーターが壊れたら、4h以内に駆けつけて直す等でしょうか?(注※運用次第ですね)。AWSラック内のルーターが壊れたら、速やかに回復するよう努力します。
・・・
以上でした。